平成30年度宮城県前期選抜講評

講評
英語 分量 増加 難易度 難化
基本的な問題構成に変化はないものの、第四問、第五問の会話文の分量が大幅に増加した。問題は単純な例文暗記だけで対応できる問題が減少し、全体的に会話や文章の流れを掴まないと容易には解答できない。要求する語彙レベルも高くなっている。英作文は会話の流れに沿って応答を考える新傾向。四技能型入試への転換をやや意識したと思われるものの、読解偏重の傾向に大きな変更はない。

国語 分量 平年並み 難易度 平年並み
小説はあさのあつこより「アレグロ・ラガッツァ」が出題された。頻出の作者でテーマも吹奏楽と馴染みが深く、過去問で研鑽を積んだ受験生であればすんなり読めただろう。評論は飯沢耕太郎「写真とことば」が出題。これも特段突飛なテーマではなく、対比構造の理解、具体例と抽象的主張の関連を読み取るといった基本的な姿勢ができていればすんなり解ける。ともに高校入試にふさわしい基本的な読解力を問う適切な難易度の良問。第三問はスピーチ、第四問は漢字と語句、第五問は漢文と、例年通りの出題となった。第三問の「旬」の言い換えは語彙力を見た上で表現力を問う差がつく問題。第五問が漢文である分、古文の問題が第四問に入った。漢字は「顕彰」がやや厳しいか。

(なお、第一問の出題作品を十一月に扱っており、アトムは調子に乗っていることを付け加えておく。)

数学 分量 平年並み 難易度 やや易化
形式に変化なし。第一問は基礎計算を問う問題。整数の性質と確率を絡めた8番がやや煩雑な問題だが、その他突飛な出題は特にない。第二問も例年通りの難易度。規則性の問題は出題されず、放物線と直線の問題が第二問に滑り込んできた。例年第三問で出題されても良いレベルで、やや解きにくいか。第三問は場合分けを含む関数の問題。「精米機」という設定が東北らしい。最終問題以外はすんなり計算できるだろう。最終問題は正確に設定を読み解く必要があるが、過去の出題例と比べても特段煩雑というわけではなく、上位の受験生は解けなければならない。第四問は平面幾何。例年、難易度の高い問題が出題されるが、合同条件および三平方の定理の理解が十分ならば例年と比べ平易な出題に感じる。